1. 座学だけでは「現場で通用する力」は身につかない
多くの新卒エンジニアが入社後に直面する課題があります。
- 研修は理解できたつもりでも、実際の開発では戸惑う
- 教わったことをすぐに忘れてしまいがち
- システム開発の全体像がつかめず、自分の役割がわからない
こうした課題に対する答えの一つが、アジャイル開発のスプリントを活用した実践型OJT研修です。
2. スプリント型OJTとは?実務に近い“反復と改善”の学び
スプリントとは?
スプリントとは、1~2週間の短期間で成果物(リリース可能な機能)を開発するサイクルです。研修においては以下のような利点があります:
- 要件理解から設計・実装・テスト・レビューまで一通り体験
- チーム内コミュニケーションを習慣化
- 毎回の成果とフィードバックで成長実感が得られる
なぜ新卒研修に適しているのか?
- 短期集中で「やりきる」経験を積める
- 反復型の学びで記憶が定着しやすい
- 即時フィードバックで、つまずきをその場で修正可能
3. スプリント型研修の進め方(例)
| フェーズ | 研修内容 | 習得スキル |
| スプリント0 | 環境構築、プロジェクト導入 | 開発フローの理解、ツールの使い方 |
| スプリント1–2 | ToDoアプリやAPIなど簡単な機能の実装 | コーディング規約、設計の流れ |
| スプリント3–4 | ペア開発・レビュー・チーム作業 | チーム連携、レビュー力 |
| スプリント5以降 | UI改善・リファクタリング提案 | 自主性、プロダクト思考 |
すべてのスプリントで「日報」「コードレビュー」「レトロスペクティブ」を実施。単なる“経験”に終わらせず、学びを振り返る習慣も育てます。
4. トレーニングではなく“本番に近い環境”を再現
スプリント研修の最大の魅力は、実務さながらの環境を構築できることです。
- タスクの進め方やコードレビューが本番と同様
- 期日があるため、自分のペースだけで動けない “適度なプレッシャー”
- メンターが「教える」のではなく「一緒に並走する」スタイル
- 作成物は実際に社内システムとして活用されるケースも
たとえば、サイボウズの新卒研修では、このようなスプリント形式を中心に構成されており、チーム力と技術の両面で効果を上げています。
5. まとめ:反復と実践がスキル定着の鍵
スプリント型の研修は、単に「教えられる」スタイルから脱却し、自ら試し、失敗し、改善する力を身につける機会です。
最初の6ヶ月で学ぶべきことは、知識ではなく、「どう成長をデザインするか」。
“自分で考えて動く力”こそが、これからのエンジニアに求められる最大の武器なのです。

